音痴の直し方と練習法
カラオケで自分の番が来るのが怖い。音を外してしまう原因は、じつは一つではありません。
この記事では、音痴の定義と主な原因を整理し、自分がどのタイプなのかを判断する方法から、基礎の音感トレーニングまでを順に解説します。
なぜ音を外すのか?

なぜ人は音を外すのでしょうか?
じつは、多くの方が思っているより「本当に音程がずれている人」は少ないことが、研究で分かっています。
米国の大学生79名(心理学入門の受講生。全員、聴力は正常で発声の病歴もなく、音楽の専門的な訓練も受けていません)を対象にした2007年の研究では、聴いた音を1半音以上はずして歌った人は10〜16%でした。
一方、同じ大学の1,105名に「歌でメロディを真似できますか」とたずねた事前アンケートでは、59%が「できない」と答えています。研究チームは「自己評価が示すよりも、実際にできない人はずっと少ない」と述べています(Pfordresher & Brown, 2007)。
つまり、「自分は音痴だ」と思っている方の多くは、実際には音程を大きく外していない可能性があります。
音痴の改善方法としては、
- 正しい呼吸法を学び、基本的な音階練習を繰り返すこと。
- ピアノやチューナーなどを使って正確な音程を覚え、それを声に出す練習をする。
上記の2つの練習方法が効果的です。
地道な練習を積むことで、音痴は改善していけます(変化のしかたには個人差があります)。
そもそも音痴とは何か?音痴の定義

音痴とは、音楽的な音程を正確に捉えたり、再現したりするのが難しい状態を指します。
具体的な定義としては、
曲のメロディーを正しく歌えない、または楽器で正確な音を出せないことを言います。
音感が発達していないために、音の高低や長短を識別し、
それを声や楽器で表現することが困難なのです。
音痴になる主な原因

音痴になる原因としては、まず遺伝が挙げられます。
音感やリズム感を司る遺伝子の影響を受けている場合があります。
しかし、遺伝だけが音痴の理由ではありません。
日常の習慣も大きく関わっています。
例えば、幼少期から音楽に触れる機会が少なかったり、
歌うことに対するネガティブな経験が積み重なっていることも影響します。
また、正しい歌い方や呼吸法を知らずに練習を進めていることも、
音痴を固定化させてしまう要因となり得ます。
なお、先ほど紹介した研究では、実際に音程がずれた方も、2つの音の高さを聞き分ける課題では正確な方と成績に差がありませんでした。聞き分ける力そのものより、聞いた音を声の動きに変換する段階でずれている、というのが研究チームの結論です(Pfordresher & Brown, 2007)。「耳が悪いから」と決めつける前に、この点を知っておくと安心材料になります。
これらの原因を踏まえた上で、適切な練習法を取り入れることが音痴改善への鍵となります。
音痴を治すための基本的なステップ

音痴改善にはいくつかの基本的なステップがあります。
- 自分の歌声を録音して客観的に聴き、どの音が外れているかを把握する。
- 基礎から声を出す練習を行い、正しい発声方法を身につける。
- ピアノやチューナーアプリを使って、一つ一つの音を正確に歌えるように練習。
- リズム感を養うためにメトロノームを活用する。
これらの基本的なステップを地道に繰り返すことで、音痴は改善に向かっていきます。
自分が音痴かどうか判断する

音痴改善を目指す第一歩は、まず自己判断で音痴かどうか調べることから始まります。
音程が取れているかを確認するため、
簡単なメロディを歌って録音し、再生してみるのが効果的です。
また、音楽アプリやカラオケ機器の採点機能を使う方法もあります。
友人に正直な意見を求めるのも一つの手ですが、客観的な評価が重要です。
少し嫌かもしれませんが、
これらの自己判断を通して、自分が音痴であることを認識したら、
次は音痴の直し方と練習法に取り組むことが大切です。
レッスンではどう見分けているか
当教室のレッスンでは、次のような手順で確認しています。これはレッスンでの経験に基づくもので、研究によって検証されたものではありません。
- まず発声の状態を確認します。喉が締まっていたり、声域と歌おうとしている音の高さがかけ離れていたりする場合は、そちらを先に整えます。
- 単一の音を、声だけで合わせられるか確認します。人の声に対して合わせられるか、ピアノなど楽器の音に対して合わせられるかを分けて見ます。
- メジャースケール(ドレミファソラシド)を歌ってもらい、ある程度音の高さを追えるかを確認します。
- どの音でずれやすいかを見ます。ドから数えて4番目・5番目・7番目・8番目の音(ファ・ソ・シ・高いド)あたりでずれる方が多く見られます。
ずれやすい音が分かったら、1度からその音への跳躍を含めたスケール練習を重ねます。「音階を歌いましょう」ではなく、狙う音を決めて練習するのがポイントです。
基礎から始める音感トレーニング

音痴改善には、基礎から始める音感トレーニングが欠かせません。
音感トレーニングは、音楽の正しいピッチを聞き分け、再現する能力を養う練習法です。
- 単音を聞いてその音を声に出す練習。
- 簡単なメロディを聞いて歌う。
このような段階的なアプローチにより、音痴を改善するための土台になります。
簡単にできるピッチ練習法

簡単にできるピッチ練習法としては、
基本的な音階をピアノや音楽アプリで聞きながら、その音を正確に歌うこと。
この練習法は、音の高低を聴き分ける耳を養い、声に出すことでピッチ感を身につけます。
カラオケでお気に入りの曲を歌う前に、この基礎練習を行うことで、
自然と音痴が改善されていきます。
毎日の練習を積み重ねることが、音痴改善への近道です。
最後に、練習は短時間でも良いので、継続することが大切です。
よくある質問

音痴改善に関する質問は沢山ありますが、
ここでは最も一般的な疑問に答えていきたいと思います。
音痴は遺伝するのか?
多くの人が疑問に思うのは、この音痴が遺伝するのかという点です。
遺伝の観点から言えば、音感の良し悪しには遺伝的要素が影響を及ぼす場合がありますが、
それだけが原因ではありません。
環境や教育、練習の有無も大きく関わってきます。
つまり、音痴は遺伝する要素もありますが、
改善方法を知り、適切な練習を積むことで克服可能です。
年齢に関係なく音痴は治せるのか?
年齢を理由に「もう遅い」と考える必要はありません。今回紹介したPfordresher & Brown(2007)の研究は年齢そのものを問題にしたものではなく、原因を「聴いた音を声に変換する段階」にあるとしています。この変換の精度は、年齢にかかわらず練習を通じて見直していける部分だと考えられます。
ただし、どのくらいの期間でどう変わるかは人によって差があり、この記事で断定できるものではありません。歌うことへの苦手意識を減らしながら、少しずつ試してみることをおすすめします。
さいごに
「音痴」を理由にレッスンに来られる生徒さまは大変多いです。
ですが、レッスンと個人練習を重ねて、徐々に改善する方も同じくらいいます。
ポイントは、少しずつでも音楽に触れる時間を増やすことだと思います。
この記事をきっかけに、音痴で悩んでいる方が
少しでも歌うことを好きになっていただけると嬉しいです。
※本文で紹介した研究は、米国の大学生(非音楽家)79名を対象にした実験です。日本人や、子ども・高齢者、音楽経験者を対象にした検証ではなく、練習や指導による変化についても検証していません。個人差があることを前提にお読みください。
参考文献:Pfordresher, P. Q., & Brown, S. (2007). Poor-pitch singing in the absence of “tone deafness”. Music Perception, 25(2), 95-115. https://doi.org/10.1525/mp.2007.25.2.95
※声が出しにくい、喉に痛みや違和感がある、声のかすれが続くといった状態のときは、自己判断で練習を続けず、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。本記事は医療的な診断や治療を目的としたものではありません。
この記事へのコメントはありません。